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プラセボ効果 [愛しの利用者さん達]

昔、まだ私が新人看護師だった頃、
何の疾患で入院していたかは忘れてしまったけれど
足の痛みを始終訴えている患者さんがいました。
痛み止めの薬の指示があったので
私はその方が痛みを訴えるたびに鎮痛剤をあげていましたが、
ある時 薬をあげてまだ1時間もしないうちに
その患者さんがまた痛みを訴えてきた時がありました。
薬によって間隔の差はあるけれど
そのとき使用していた薬は確か
4時間以上は間をあけなくてはならないものだったので
まだ使用して間もないからと
その患者さんに伝えたところ、
「でも我慢できません。何とかしてください。」
と、辛そうな顔で懇願されてしまいました。
困った私は先輩ナースに相談。
少し考えてから、その先輩ナースは
常備薬の棚から袋を取り出してきて
「この薬をあげてみて。
いつものより強めの薬だから、
きっと良く効きますよって 説明してね。」
と 私に白い薬を1錠手渡しました。

私はすぐに患者さんのベッドに向かい、
先輩ナースに言われたとおりに
その患者さんに伝え、薬を飲んでもらいました。
「あぁ、よかった。これで楽になれる。
有難うね。」と、喜ぶ患者さんをみて
この薬が良く効いてくれますようにと願いました。

その後、他の仕事に追われ、
気付いた頃には 薬をあげてから2時間ぐらい経っていましたが
その患者さんからのナースコールはありませんでした。
反対に心配になった私は
恐る恐る病室を訪れてみましたが
私の姿を見た途端、その患者さんは
「さっきは有難うございました。
おかげで痛み無くなりましたよ。」
と、久し振りの笑顔を見せてくれました。

ホッとした私は ステーションに戻り、
先輩ナースに、薬が効いた事を伝えました。
それを効いた先輩は、
「やっぱりね。」と 笑って
先ほどの薬袋の表示を見せてくれました。
それを見た私は、一瞬 目が点に。。。
「偽薬」と書かれたその薬は
今ではポピュラー(?)に使われている
乳糖のこと。
薬としての効果はありませんが、
精神的に薬に依存している方に使ったりしています。
痛いと訴えるからには
確かに痛みはその人の中で存在しているものですが、
でも、痛みは精神に非常に強く影響を受けるものらしく
思い込みやストレスによって
痛みを増強させる事もあるようです。
薬はもともと毒といわれるように
副作用の無い薬は存在しません。
薬を使わなくても、乳糖のような偽薬で
痛みが治まるのであれば
その人にとっても、体にとっても
きっといいことなのではと思います。

でも、 やっぱり騙しているような後ろめたさもあって
少し 気がとがめることもありますけれど。。。

現在は、慢性の痛みや不眠に対して
第一選択の薬として使われている事が多いようです。
そのときによって
痛み止めにもなり、睡眠剤にもなる魔法の薬。
ただし、
医療関係者には使えないというところがネックです。(笑)


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さいがわ

病は気からというのが、よくわかるお話ですね。
時代劇でも、小石川療養所の医者が毒にも益にもならないうどん粉みたいなのを飲ませて、病人が良くなったというのを見たことがあります。
私も花粉症の薬を飲むと何か落ち着きます。これは、本当に飲んでいるので違いますが。
by さいがわ (2006-04-14 23:53) 

sasasa

心理学の本で、読んだ事ありますが、
本当にこんな事あるんですね。
薬でなくても、何かいやだな・・・って思っていたら、
案の定、よくない事ばかりおきたりって事も、
同じ原理らしいですね。
by sasasa (2006-04-15 00:05) 

nano-hana

私の祖父に関してもこうゆうことあります^^
先日もこの記事にそっくりなことがあって(祖父の場合は抜歯による歯茎の痛みでしたが)、鎮痛剤を飲み込んだ瞬間に「もう痛くない」ってご機嫌&自慢そうにご飯パクパクでしたもん^^;
これなら副作用のある鎮痛剤じゃなくて、偽薬でも十分効いてたかも。
by nano-hana (2006-04-15 00:55) 

プラセボ(偽薬)効果ですね~。
乳糖だったのか。でも乳糖不耐性のヒトにも使えないですね。
アレルギーの方も。事前に確認はしてあるとは思いますが。
私の悩みもこの偽薬で解消!?^^
by (2006-04-15 10:22) 

みんみんみなみ

>いいだやさま。
信じるものは救われるっていう言葉がありますけど、まさにそうですね。確かに病は気から。食事も運動も大事ですが、健康であるためには気分も重要だという教訓に思えます。

>sasasaさま。
「かんのむし」って言うんでしたっけ。ネガティブよりもポジティブに物事を捉えることが出来る人だからこそ、この薬は良く効くんでしょうね。

>ななさま。
抜歯のあと、麻酔が切れてきたときの何ともいえない痛みはきついですよね。私も親知らずを抜いた痛みが治まらず、このままご飯が食べられなくなったらどうしよう。。。って、ちょっと怖くなった事があります。それにしても、超スピードの薬効ですね。^^ななさんのお祖父さんみたいな方がいたら、仕事楽しいかも ♪

>タケノコさま。
お~!さすが、よくご存知ですね。乳糖がだめなら、ビタミン剤のカプセルなんかもあります。今や医薬品は偽薬市場(?)と化しつつあり、色んなプラセボ製品が出てきてるらしいですよ。要は、信じる事が大事なので、1回でも効かないと感じてしまったら、もうその薬は使えませんから難しいところです。
by みんみんみなみ (2006-04-19 19:19) 

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