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お風呂が嫌い [愛しの利用者さん達]

毎日35℃を越す暑さが続いていますが、
先ほどからのスコールのようなどしゃ降りで、
一気に涼しくなって今日は快適。
早く涼しい秋になって欲しいけど、
きっと残暑はこれから・・・ですよね。

私の勤務している老健では、
週に4日入浴日を設けています。
利用者さんたちは最低週2回入浴されますが、
やはり今の暑い時期は
毎日入りたいといわれる方が多いです。

お風呂大好きな利用者さんが多い中、
反対に お風呂に入るのが嫌いという方もいます。
人を代え、方法を代え、説得を代え、
色々と手腕の限りを尽くすのですが
これが なかなか難しい。
私達の力量が試される援助の一つです。

入所して1年3ヶ月のOさんも その1人でした。
在宅の時からお風呂嫌いで、
家族がどんなに勧めても
汚れない限り、着替えもしようとしない。
最後にお風呂に入った日は、もう何年か前・・・
という、聞いただけでもちょっと身を退きそうになる
そんな状態で 彼は当苑にやってきました。
85歳という年齢にはみえない位若々しく
要介護度1という軽さの通り、
Oさんの日常生活動作は ほぼ自立。
軽度の認知症があるほかは
身の回りのことは殆ど自分で出来る方でしたが、
家族が体調不良という理由で長期入所依頼。
正直私達も不安でしたが、
まずは施設生活に慣れてもらうこと、
その次は入浴ができる事を目標にし、
以来、あの手この手を駆使して
がんばる事3ヶ月。。。
そう、去年の丁度今頃、
やっとOさんが入浴をしてくれたのです。

きっかけは、Oさんの髪に埋もれている
大量のフケをみて、若いケアさんが発した一言。
「Oさん、髪の毛のなかに、虫がついているみたいですよ。」
団扇で扇ぐたびに飛び散るフケが
まるで白い虫がOさんの頭の周りを廻っているかのような
そんな風にみえたからと、
後に彼女が話していましたが、
何気ない彼女のその一言が
Oさんをぎょっとさせてしまったようです。

「ここに殺虫剤はあるか?」
Oさんは焦ってケアの彼女に聞きます。
チャンスと思った彼女は、
「今、しらみが流行していて、薬が足りない状態なんです。
とりあえず、髪を洗えば ある程度落ちると思いますが。」
と、さりげなく入浴を勧めてみました。
「やはり・・・」
Oさんはしばらく考えて、
頷きながら彼女にいいました。
「どおりで最近、妙に痒いと思った。
薬撒くより、洗ったほうが早いな。」

そして、無事、Oさんは久し振りのお風呂へ。
湯船に入る事は拒否されましたが、
シャワーを浴びたOさんは
文字通り、垢抜けて帰ってきました。
洗体を手伝ったケアさん曰く
「こんなに気持ちいい介助は初めて。」だったとか。

以来、Oさんへの入浴誘導時の声かけは、
「しらみが流行っています。」
という一言で統一されました。
あんなに嫌がっていたお風呂も
この言葉をかけるだけで
不思議なくらい気持ちよく応じてくれるようになりました。

そういえば
昔 戦前だったか 戦後間もない頃、
しらみかなんかが流行って
子供も大人も頭から白い薬をかけられたと
利用者さんから聞いた事がありました。
おそらく Oさんは
そのときの経験を思い出したのかもしれません。

衛生状態が 今よりもずっと悪かった時代。
風呂に入らなくたって
こうやって生きてこられた。。。
お風呂を拒否し続けたのは 
Oさんの 一種の自己主張だったのかも。


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予測外 [愛しの利用者さん達]

人間には「生理的欲求」というものがあると言っていたのは
ヘンダーソンという人でしたか。。。
食事をするとか、排泄をするとか
生きていく上で生じる必要な欲求のことですが
大抵の利用者さんは、食事を摂れなくなったら
人間はお終いだといわれる方が多いです。
だから、食欲が無くても
頑張って食べようとされる。。。
勿論、物が無い時代に
育ったという環境のせいかもしれませんが、
とにかく、食事の時間を大事にされる方が
多いと思います。
そして、やはり、義歯へのこだわりも
もっている方が多いです。

当苑では、外来が併設されていて
週に1回だけ歯科受診の日があります。
受診希望者は予約制ですが、
あまりにも人気(?)がありすぎて
2~3週間待ちという利用者さんも少なくありません。
受診理由の第一位は
義歯調整・義歯作成です。

Kさんは、長年使っていた義歯が合わなくなったため
調整をしてもらう為に毎週受診をしていました。
しかし、調整にも限界があり
やせてしまった歯肉にあわせるには
新しい義歯を作るしかないということになり、
家族の了承を得て作成する事になりました。

内科、外科、皮膚科や整形外科等、
歯科以外の受診にかかる費用は、
介護保険内から支払われます。
それらは入所中の施設の負担になり、
受診の費用や薬・軟膏の費用は勿論
当苑の持ち出しとなります。
ちょっと水虫っぽいとか、
痒みがあるからという理由だけでは
簡単に受診する事が難しく、
受診者が増えると
科長の雲行きも怪しくなります。
ところが、歯科だけは医療保険になっていて
利用者は一部自己負担をするか、
実費を支払う事で、すぐに受診が可能です。
そんな訳で
義歯作成というような高額の治療に関しては
支払いをする家族の了承が必要となります。

Kさんの家族の了承がとれたので
早速新しい義歯が作られました。
新しい義歯は、しばらく装着してみて
違和感が完全に無くなるまで
作成後も何度か調整を繰り返します。
痛みがあったら外してもいいと
歯科に言われていたので、
「食事中、痛いと感じたら、
無理せずに入れ歯は外してくださいね。」と、
毎食時本人に確認をとっていた矢先、
その事件は起こりました。

そう、Kさんは義歯を無くしてしまったのです。
違和感を感じたから、食事中外して
お膳と一緒に下膳してしまったのか。。。
歯磨き後に、外した義歯をどこかに置いたまま
忘れてしまったのか。。。
本人も覚えていないので、
私達は思いつく限りの場所を大捜索しました。
居室内ベッド周りは勿論、
栄養課や厨房、レクリエーションルーム、
パワーリハビリ室、食堂、
トイレ、洗面所の排水溝まで。。。
しかし、どこを探しても見つかりません。

義歯が無ければ、調整が出来ないので
勿論歯科受診も出来ず、
困った事に、義歯作成は
保険上、6ヶ月に1回と決められています。
Kさんは落ち込んでいましたが
義歯が見つからない事よりも、
後6ヶ月もお粥を食べなくてはならない事が
つらかった様です。

そして、義歯紛失騒動から5日程たった頃、
ひょんなところから義歯が見つかりました。
見つけたのは、他利用者の家族。
面会にきて、本人の口の中にあるはずの無いもの
(Kさんの入れ歯)に気付き、
スタッフに問いかけた事で発覚しました。
その利用者さんは、ほぼ自立の方でしたが
時折、自分のものと他人の物の区別がつかなくなってしまう方で
今までも他利用者さんと
よくトラブルになった事がある方でした。
おそらく、Kさんが、どこかに置き忘れた義歯を
自分のものと思い込んでしまって、はめてしまったのでしょう。
違和感があれば外したかもしれませんが
そのままつけ続けていたという事は
偶然にも、歯茎の形態が似ていたのかもしれません。

しかし、予測外でした。
まだまだ、修行が足りない。。。
老健ナースへの道のりの厳しさを
改めて痛感した事件でした。










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夢はひとつ [愛しの利用者さん達]

利用者さんたちは
様々な趣味をもっている方が多い。
編み物、習字、水彩画、ちぎり絵、
カラオケ、読書、ペーパークラフト、etc...
女性の利用者さんは、もともと趣味を持っていたという人が多いが
男性の場合、入所してから始めたという場合が殆ど。
そんな中、ひときわ目立つ
素敵な男の利用者さんをご紹介。

入所されて1ヶ月のKさんは、68歳。
趣味はギターを弾くこと。
若い頃から 仕事の傍ら、バンドを組んでいて
最近まで ライブなんかも時折やっていた
バリバリのギタリストだったらしい。
奥さん曰く、かなりの腕前で
昔 TVに出た事があったとか。。。

そんなKさんが倒れたのは
昨年の暮れ、クリスマスの頃。
バンド仲間と飲みに行った帰り、
電車のホームで Kさんは急に意識を失い、
救急車で病院に搬送された。
原因は 脳梗塞。
搬送先の救急病院で一命をとりとめたわけだが
右半身に麻痺が残り、リハビリ病院に転院。
必死のリハビリの結果
杖歩行が出来るまでに回復し、
自宅の改修工事が終えるまでの間という期限付きで
当苑に入所する事になった。

ギブソンのギターを抱え、
毎日 彼は右手のリハビリをしている。
「まだ、指が思うように動かないんだよね。
これでも大分動くようになったんだけど。。。」
夕食後、利用者の退けた食堂の片隅で
毎晩聴こえるスローテンポのビートルズ。

「早く、家に帰りたいね。
やっぱり ココじゃ、大きな音出せないし。
あと、バンドの仲間達が 待っててくれてるんだよね。
もう、半年以上経つっていうのに、
ギターまだ入れてないんだって言うんだよ。
治る保障はないぞって 言ってるんだけどね。」
時折まわらない口を直すかのように
頬を手で押さえながら、彼は話をする。
「やりたい事は 一杯あるけど・・・
でも、やっぱり もう一度ライブしたいな。」

リハビリは長期に亘る大変な訓練である。
投げ出したくなったり
自暴自棄になったり
挫折しそうになった事もあるのではと思うが
彼は そんな事を微塵も感じさせることがない。
夢を持っている人は
それだけで強くなれるのかもしれない。

巷で流行っている親父バンド。
彼のギターが又その中で
活躍する日が早く来ますように。














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プラセボ効果 [愛しの利用者さん達]

昔、まだ私が新人看護師だった頃、
何の疾患で入院していたかは忘れてしまったけれど
足の痛みを始終訴えている患者さんがいました。
痛み止めの薬の指示があったので
私はその方が痛みを訴えるたびに鎮痛剤をあげていましたが、
ある時 薬をあげてまだ1時間もしないうちに
その患者さんがまた痛みを訴えてきた時がありました。
薬によって間隔の差はあるけれど
そのとき使用していた薬は確か
4時間以上は間をあけなくてはならないものだったので
まだ使用して間もないからと
その患者さんに伝えたところ、
「でも我慢できません。何とかしてください。」
と、辛そうな顔で懇願されてしまいました。
困った私は先輩ナースに相談。
少し考えてから、その先輩ナースは
常備薬の棚から袋を取り出してきて
「この薬をあげてみて。
いつものより強めの薬だから、
きっと良く効きますよって 説明してね。」
と 私に白い薬を1錠手渡しました。

私はすぐに患者さんのベッドに向かい、
先輩ナースに言われたとおりに
その患者さんに伝え、薬を飲んでもらいました。
「あぁ、よかった。これで楽になれる。
有難うね。」と、喜ぶ患者さんをみて
この薬が良く効いてくれますようにと願いました。

その後、他の仕事に追われ、
気付いた頃には 薬をあげてから2時間ぐらい経っていましたが
その患者さんからのナースコールはありませんでした。
反対に心配になった私は
恐る恐る病室を訪れてみましたが
私の姿を見た途端、その患者さんは
「さっきは有難うございました。
おかげで痛み無くなりましたよ。」
と、久し振りの笑顔を見せてくれました。

ホッとした私は ステーションに戻り、
先輩ナースに、薬が効いた事を伝えました。
それを効いた先輩は、
「やっぱりね。」と 笑って
先ほどの薬袋の表示を見せてくれました。
それを見た私は、一瞬 目が点に。。。
「偽薬」と書かれたその薬は
今ではポピュラー(?)に使われている
乳糖のこと。
薬としての効果はありませんが、
精神的に薬に依存している方に使ったりしています。
痛いと訴えるからには
確かに痛みはその人の中で存在しているものですが、
でも、痛みは精神に非常に強く影響を受けるものらしく
思い込みやストレスによって
痛みを増強させる事もあるようです。
薬はもともと毒といわれるように
副作用の無い薬は存在しません。
薬を使わなくても、乳糖のような偽薬で
痛みが治まるのであれば
その人にとっても、体にとっても
きっといいことなのではと思います。

でも、 やっぱり騙しているような後ろめたさもあって
少し 気がとがめることもありますけれど。。。

現在は、慢性の痛みや不眠に対して
第一選択の薬として使われている事が多いようです。
そのときによって
痛み止めにもなり、睡眠剤にもなる魔法の薬。
ただし、
医療関係者には使えないというところがネックです。(笑)


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見える人 [愛しの利用者さん達]

いつもの朝の申し送りが終わり、
日勤のスタッフが、それぞれの仕事にたった後、
「みなみさん、ちょっといいですか。」と言って、
夜勤明けのナースがまじめな顔をして話し始めた
ちょっと怖い話。

昨夜は、利用者さんたちも比較的落ち着いていて
いつもだったら 不眠の方が1人くらいいるフロアーが
誰も居ないホントに静かな夜だったそう。
自分もたまにあるが
皆がぐっすり眠っている夜は 本当に静かで
相棒が仮眠を取っている間は
起きている人間は自分しかいないわけで
寂しいと言うよりも ちょっと怖い感じがするのだが、
1時間毎の巡視は行なわない訳にはいかない。
懐中電灯を片手に
後ろも気にしながら 恐る恐る居室を廻るのである。

彼女もそんな風に1人で巡視をして
皆ぐっすり眠っているのを確認し
ステーションに戻ってきたときのこと。
詰め所の入り口のドアを開けて入ろうとした時
向かいのもう一つある詰め所の扉が
まるで たった今 人が出て行ったみたいに
丁度閉まったところを見たというのだ。

鳥肌がたった。
背筋が凍るというのは
きっと こんな時の事を言うのだろうか。

「だれか起きてきたのかと思って、
すぐドアを開けて又居室を廻ったんですよ。
でも、皆最初に廻った時と同じで、
歩ける人の靴の位置も変わっていなかったし。」

夜間 トイレに行ったかどうかは
全ての独歩者を調べる事は難しいので
私達は 巡視のたびに
利用者さんの脱いだ靴の位置を覚えておく。
何時間も靴の位置が変わっていなければ
トイレに起きてないという事になり
トイレの声かけをする目安の一つとしている。

~見回りの守衛さんだったということは無い?
私がそういうと、彼女は首を振り、
「守衛さんなら懐中電灯を持っているはずです。
それに、守衛さんの巡視の時間ではなかったです。
その後 巡視にきた守衛さんに確認しましたもの。」

二人で しばし沈黙。。。

~誰が来たんだろうね?
  Hさん、・・・いや、Iさんかな。

この老健を経て特養等に移った後、
お亡くなりになったという利用者さんの話はよく聞く。
私は勤めて まだ4年だが
彼女はもう12年になる。
きっと、お世話になった彼女に会いに来た
利用者さんだったのかも。。。

「それならいいんですけれど。。。
でも、ほんっとに怖かったですよ。
しばらく夜勤やりたくないですよ。」
気持ちはよく分かる。
知っている人、知らない人に関わらず
やっぱり霊に遭遇してしまうのは怖い。
病院では よくこういう話を聞いたが
老健でも出るとは思ってもみなかった。

明日は夜勤。
不眠の利用者さんがいてくれることを
祈ってしまう気弱な私です。。。






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吐血 [愛しの利用者さん達]

事件が起きたのは
朝の起床介助に追われる6時半ごろの事。

朝食前のインシュリンをうつ利用者さんは
常時3~4人ぐらいいる。
Kさんも その1人で
早番の看護師が出勤するまえに起床を促して
食堂手前の処置室にいつも待機してもらうのが
毎朝の日課だった。
そして
いつものように車椅子に移動してもらおうと
夜勤のケアさんが訪室した時
大量の黒い血液にまみれているKさんを発見したのである。

Kさんは、両上肢と腰椎の関節が拘縮していて
車椅子は専用の特殊なハイバック式を使用しており
勿論 トイレの便座にも座ることが出来ない方なので
オムツ交換で対応している方だった。
朝のオムツ交換は4時すぎから
夜勤者ふたりでいっせいに廻る。
Kさんのオムツ交換をしたのは大体4時半ごろ。
そのときはいつもと変わった様子はなかったらしい。
次々と起床する利用者さんたちのコールにおわれ
そのあとKさんを迎えに行くまで
その居室に訪室はしていなかった。
ナースコールを押せないKさんは
どんなに苦しかっただろうか。

発見したケアさんは
すぐにナースを呼びにいった。
ナースがDr.call後、Kさんの意識レベルを確認し、血圧を測る。
聴診では聞き取れず、触診でやっと上が60くらいだとわかった。
反応はかなり鈍く危険な状態であったため
すぐに救急車を要請。
そのままKさんは 救急病院へ搬送されることとなった。

その日 日勤で出勤した私は
すでに転院してしまったKさんのベッドを見て、
まるで殺人事件があったかのような出血のあとに
これはもうKさんは危ないんじゃないかと思った。
しかし、数時間後、家族からの電話で
何とか とりとめたという知らせを聞き、
皆でホッと安堵したのである。

その後、詳しい検査の結果
吐血の原因は、胃がんであったことが分かった。
癌は胃壁近くの動脈を巻き込み、
血管を破壊したのである。
それを聞いて私達はドキッとした。
Kさんの既往歴に胃がんはなかった。
食欲もあって、
食事は残さずに毎回全量摂取されていた。
しかし、若干貧血があったので
毎日鉄剤を服用されていた。
ご存知の方も多いと思うが
鉄剤を服用していると 便の色は黒っぽくなる。
1ヶ月ほど前に ケアさんが
「Kさんの便の色が黒いんですけど。。。」と
いってきた事があった。
その時の勤務していたナースは
「大丈夫よ。薬のせいだから。」と答えていた。
その後、その件について2,3日申し送りがあったが
私も特に気にせずに受け止めていた。

薬のせいではなかった。
もしかしたら そのときから胃の出血があったのではないか。
その場にいたナース全員 言葉が出なかった。

ケアさんに任せていることが多い日常介護。
直接観察する重要性を 身にしみて感じた事件であった。





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48時間頑張れますか? [愛しの利用者さん達]

最近は天気が悪くて 曇りや雨の日が続いてます。
梅はぼちぼち咲き出していますが
まだまだ春というには寒いですね。

夜勤をやっていると、たまに
一睡もしない利用者さんと 一晩中すごす事になったりします。
昨夜もそうでしたが、いつもと違って、
そんな利用者さんが 3人もいました。

3人とも ADLは ほぼ自立の方達だったので
歩行自体の心配は無いのですが
自分の部屋以外の居室に入っていったり、
暗いから電気をつけるといって
あちこちの照明をつけてしまったり、
排煙の窓を開けてしまったり、
(スイッチを押すと簡単に開く仕掛けなので)
フロアー全体がめちゃくちゃ寒くなってしまって
ほんと、まいりました。

医師から出される約束指示というものがあって、
消灯すぎても眠れない方には
睡眠剤を与薬することがあります。
本人が希望したり、
他の利用者さんに迷惑がかかると思われる場合などです。

昨夜の3人のうち、2人は
前日の夜も不眠だったと申し送りで聞いてました。
もう少ししたら眠くなるのではと
23時くらいまで様子を見ましたが
全然眠る様子が見られず
結局指示薬を服用してもらいました。
でも、なぜか全然効きませんでした。
朝まで完徹でした。
前回不眠時に服用した時はよく眠れたはずなのに
曇りで月は見えなかったけど
昨夜は 満月だったのかしら。。。

一睡もしなかった彼(彼女)たちは、
夜勤で仮眠をとっている私達よりも元気に
朝の歯磨きをしていました。
人間って何時間ぐらい眠らないですごせるんだろう?
彼らのパワーは何処から来るものなのか
本当に不思議です。
ギネスに載っていないだけで
本当は記録更新してる利用者さんがいるかもしれません。

今日は眠れるといいんだけど。。。



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好きなだけ食べてこそ「バイキング」 [愛しの利用者さん達]

老健の利用者さんたちは
施設の外に出るという事が殆ど無い。
一種、閉鎖された限られたこの空間で
生活していく事を余儀なくされている。
どんな人間でも 刺激の無い毎日を
ただ漠然とすごしているだけでは
脳も使われる事無く どんどんボケていってしまうだろう。

だから私達は考える。
今日は何をしようか。
毎日のレクリエーション以外に
利用者さんに楽しんでもらえる事。
外に出る事が少ない利用者さんたちに
少しでも刺激のある生活をしてもらいたいから。。。

去年から 栄養課と組んで行なっている
バイキングもその一つ。
食事のバイキングは勿論、
おやつ・デザートのバイキングも試行し好評だったために 
今では年6回ほどの定例行事となっている。
料理の献立を考えたり、事前準備などで
栄養課の苦労は大変なものだが、
それでも喜んでくれる利用者さんの笑顔を見てると
次は屋台のおでんにしようか
マグロの解体ショーやりながら、おすしなんてどうなんて、
栄養士さん達に 無責任にも次の献立を提案してしまったりする。

バイキングの日だけは
糖尿病などで食事・カロリー制限をされている方達も
ある程度は制限解除となる。
(一応事前に医者をやっとの思いで説得して 了解を得てはいるので)
特にそんな方達が楽しそうに食材を選んで
食事をしている姿を見ていると
それだけで私達も嬉しくなる。
本当は 毎日好きなだけ食べ物を食べさせてあげたいけれど
病気が病気なだけに 
やっぱり完全フリーというわけには行かないのが現状だ。

先日 おやつバイキングを行なったが、
インスリン療法中の利用者さんで
気がつくと プチケーキを8個も平らげてしまったために
監視していたDr,にストップをかけられてしまった方がいた。
そのうちにやはり、食べすぎだというので
次々とストップをかけられていく利用者さんが増えていき
楽しい夢のような時間は30分程でおひらきとなった。
普通なら、バイキングといえば2時間ぐらいあるものではないか。
年に数回のバイキングなんだから、
もう少し制限をやわらかくして上げてもいいのに。。。

病院にいたときは そんな患者さんたちにうるさく食事指導し、
間食を見つけては叱ってしまうナースだった私も
老健の利用者さんに対しては
医者を敵にまわし
完全に利用者の味方になってしまった変なナースになっている。


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ある法則 [愛しの利用者さん達]

バイクに乗ってる時に ふと考える事がある。
メーターの針は どこまであがるんだろう。
ホントに時速180kなんて出るのかなぁ。
ちょっと出してみたい衝動にかられるが、
おまわりさんが怖いので 公道ではちょっと厳しい。
10kぐらいある直線のサーキットなら出せるんだろうなぁ。

そんな欲望とは裏腹に
ホントは事故が怖いので 最近滅多にスピードは出さない。
今 自分が事故ってしまったら、
たくさんの人に迷惑がかかってしまうし
家の中も荒れ放題になるのは軽く予想できる。
まして、死んでしまったりなんかして
ぐちゃぐちゃの更衣室のロッカー内を見られることだけは避けたい。
また、助かったとしても 介護が必要となってしまったら。。。
色々考えると怖くなるので
やっぱり スピードは出せない。

病院に勤務している頃 
その時も 完全看護が主流であったが
家族が介護をかってでるケースも多かった。
そんな家族を見ていて気づいた事。
年齢層が若い夫婦はさておき、
60代以降の夫婦にみられる共通した法則。
老健に勤めている今も その法則は崩れていない。

患者さん(利用者さん)が男性の場合
奥さんは 初めからそんなに頻繁には面会に来ない。
看護師を信頼して 任せて下さっているのだろうが
何かあっさりとしている感じである。
(勿論これは命に別状ない場合のみであるが。。。)

反対に 奥さんが入院している場合
必ず旦那さんは毎日のように面会にやってくる。
洗濯物も毎回持ち帰り きれいにたたんで持ってきてくれる。

ただ、老健では 女性の平均寿命が長いので
現在入所中の女性の利用者さんは
殆ど 旦那さんと死別されているケースが多く、
面会は 娘さんや息子さんが一般的。
しかし、ご主人が健在である場合
例外なく毎日のように 旦那さんは面会にみえる。

そこで、ホール内では
顔見知りとなった旦那さん同士が
仲良く談話する光景がよく見られる。
お互い奥さんの手を引き、一緒に散歩に行ったりもする。
愛されているんだなあ。。。と羨ましくなる。
高齢になると男性って まめになるものなんだろうか。。。

男性の利用者さんからは 
「妻に電話をかけてほしい。」
という訴えが多く聞かれる。
奥さんに会いたい一心で、脱走(?)を図った利用者さんもいた。
しかし、奥さんは殆ど面会に来ない。
この違いって何だろう?

自分が要介護状態になって 入所生活を送るようになったら
うちの旦那さんは こんな風に毎日来てくれるだろうか。
初の例外を作りそうなので
やっぱり旦那より先に要介護になるのは避けたい。
逆に 旦那が要介護になって施設に入ったら
出来るだけ会いに行きたいと思っているけど
この考え、一生変わらず持ち続けていけるかどうか。。。
ちょっと 不安だったりして。








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ちょっと やきもち [愛しの利用者さん達]

「今日 Kさんの態度が変だったんですよ。」
昨夜の夜勤中、相方のケアさんが
記録をしながら こう切り出した。
 変って ?
「この間までは 私のこと 名前で呼んでくれてたのに、
ちょっと、あなた、とか、あなたね、とかって呼ぶんです。」
 うんうん。
「何ていうか・・・。目も合わせてくれなくて。
私との間に 一線距離を置いているというか・・・。」
 あらあら。嫌われちゃった?
「私 Kさんに何かしたのかなぁって考えてみたんですけど
思いつかなくって。
でも、夕食後のトイレ介助のあと、ベッドから離れようとした時に
向こうを向いたまま Kさんが急にこう言ったんです。
『今日も彼氏と一緒に帰るの?』って。」
 へ?
「何の話だか 最初は分からなかったんですけど。」
そう言って 彼女は笑いをこらえる様にして 
口に手をあてながら話を続けた。

「3日前、N君と一緒に日勤だったんです。
仕事が終わったのが遅かったから
帰り 車で送ってくれるって言ってくれて。
それで甘えて 一緒に帰ることにして、
ふたりでドアから出ようとした時に
偶々Kさんが車椅子で通りかかったから
普通に ふたりで『さようなら~』って 挨拶して帰ったんです。
その事を思い出して・・・。」

 ???  それって・・・もしかして・・・。

「私とN君が 付き合っていると誤解したんじゃないでしょうか。
N君って 優しいし、ちょっとジャニーズ系でしょう。
Kさんも 息子のように慕っている感じだったから、
息子を想う母親のような気分で 心配して聞いてきたのかと思って。
だから、『彼氏なんかいませんよ~。それに今日は夜勤だから
朝までずっとここに居ますよ。』って答えたんですね。」
 ほうほう。そしたら?
「その時になって 初めて私の目をみて
『N君って恋人なんじゃないの?』って疑うように聞かれて。
やっぱりN君の事かぁ・・・って思いながら、
もう1回きちんと否定したんです。
そうしたら、『ふ~ん・・・、そう。』って。
そして、その後急に笑顔になってN君の悪口を言い出して・・・。」
???
「『あなたには あんなひょろひょろした男 勿体無いわ。』とか、
 『もっと しっかりした男がいいわよ。』とか・・・。」
 笑顔で、ですか。。。
「これって 学生時代に 友人と交わした会話に似てるって気づきました。
友人が好きだった男の子と私が仲良いいことに対して
友人が「カマ」をかけて聞いてきたっていう やりとりに。」
 ・・・。
「相手の事 こき降ろして、離れるように仕向けるっていうやり方。
単に 息子として可愛いとか、慕っているとかいうレベルじゃないみたいです。
あれは どう考えても 恋ですね。本気で好きなんだと思います。」

ー 開口 ー

一夜明けた今朝方、Kさんは
すっかり元のKさんに戻っていたとの事。
でも、やっぱり まだ疑っている様子で
又彼女に こう聞いたらしい。
『本当に N君とは何でもないの?』って。

何も知らないN君は 今日は日勤で来ていて、
そして N君の姿を眩しそうに見つめているKさんに
ナルほど・・・と思った私。

ケアの彼女は 28歳 (独身)
Kさんは 78歳 (旦那さんとは死別)
女という事で考えれば、対等なのかもしれない。

でも、私も結構 N君と仲良く話してたりするんだけどなぁ。
私に対しては 全然態度が普通のKさん。。。
これって 対象外ってこと? ;;









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